驟雨の標

困った人の長話(記述言語版)/晴れて今や東大院卒三交替会社員の名をほしいままに

残骸ファンタジー置き場、その三

思いのほか段々小説が回り始めてきたので自分でも面白くなっていますが、あまり拙速が過ぎるとプロットが爆発炎上してしまうのでここらでちょっと練り直しを兼ねながら考えてみようというお話です。
 
今回以降しばらくこの創作小説論シリーズでは、「自分の言葉が小説としてモノにならない原因」を探るべく書き始めた異世界転生ファンタジーシリーズである「悪魔どもが愛の果て」の作品紹介と、次にどういう展開をプロットとして考えているか、これまでの展開のどこに問題があるかを精査して書き綴るデバッグノートにしようと思います。
というわけで一つ目です。必要な所は片っ端からネタバレしてゆくのでネタバレしたくない人は読まないでください(そんな面白いもんじゃないのでネタバレしても問題ないとは思います)。
 

 

☆バックストーリー
基本的にこれまで同シリーズで取り扱ってきた「涙王の庭」を舞台とする作品です。六つの大陸と四つの小大陸、二つの巨大な島から成る世界は、中世のとある家系の血を引くとある人物が現実世界で書き綴った所から現れました。世界にはその「物語作者」が指定した人物が異界転生して現れて、色々な形で世界を創造していきますが、やがて「物語作者」が現実世界で老衰で死んだことにより物語は「作者」の手を離れ、一つの小宇宙として独立した世界となってゆきます。
大きく分けて八つの時代に分けられて展開される作品世界、今回の「悪魔たちが愛の果て」の舞台となっているのは二つ目の時代である「古王国時代」です。世界創造の混乱の中から徐々に立ち上がっていった知的生命たちと、彼らを率いた化神たちによってそれぞれの種族が民族或いは国家として独立して行く時代。複数の王と複数の国家が各大陸に溢れかえり、人々は最初の戦争を始めるのです。
 
☆ストーリー:主人公1:アマルガム
混乱を極める世界に悪魔族として生まれた一人の転生者の少女アマルガム

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パンツァ / 悪魔娘
https://www.skillots.com/search/work_images/120001?locale=ja

彼女のキャラクター設定はこの画を見て、三日後ぐらいに閃きました。絵の作者様であるパンツァ様には本当に感謝です。

メイド服姿の美しい悪魔の少女、二丁拳銃…は時代的に存在していないので、彼女が持つ武器は双刀です。少女が如き可憐さを持っていながら、敵対するものに対しては容赦なく残虐無比。恐ろしい程の剣のセンスを持って、自分の何倍もの大きさの敵をバッサバッサ切り殺してゆく、そんな血に飢えた悪魔剣士です。しかしその実、彼女は影追いたちの世界(日本)から転生してきた心優しき女の子なのでした。
 
日本では「美彩(ミサ)」という名前だった彼女は、残念ながら生まれた時から知的障害を負っていて言葉を話せなかったのです。両親はそんな彼女に辛く当たりましたが、ただ一人兄である「映司(エイジ)」だけは彼女に優しく接しました。ミサとエイジは仲の良い兄妹であり、ミサはこの世でただ一人エイジの事だけを愛していました。そんな中、学校でトラブルに巻き込まれ暴力的な教師によって殴る蹴るの暴行を受けていたエイジ。最愛の兄を助けるためミサは学校に忍び込み職員室から兄を助け出そうとしましたが、教師たちはミサの姿を見るや否や口封じのため彼女を殴って気絶させようとしました。しかしその衝撃でミサは吹き飛ばされ、当たり所が悪く顔の一部を除いて全身不随の寝たきりとなってしまいました。やがて彼女の魂は不自由な肉体から離れて行き、そうして兄への愛だけを遺してこの世を去ってゆきました。
 
そうして少女の魂は報われないまま終わってゆくかと思われましたが、彼女は物語の世界に呼び止められることとなりました。彼女が生前に読んでいた小説こそは「涙王の庭」に連なる作品群の一つ、「悪魔の騎士」。その運命の中で踊る主人公の役を与えられたミサは、後にアマルガムと名付けられる悪魔族の赤ん坊に転生して物語の世界に飛び込んできたのでした。
名も知れぬ凶悪な悪魔がレニという薬師の女を犯して産ませた子供、それがアマルガムの始まりでした。当時迫害され差別される種族であった悪魔族は村人たちに母親ともども殺されそうになりましたが、どうにか難を逃れ生き延びる事に成功します。最後にはレニは赤ん坊を守って死んでしまいますが、小さな命は「メイ」という悪魔族の女に拾われ、遠い昔に「流れる銀」を意味していたというアマルガムという言葉を名付けられ彼女の下で愛を一杯に受けて育ちました。
 
やがて彼女にも転機が訪れるのでした。人間たちとメイたち悪魔族が平和的に共存していた街は人間殺戮を目指す過激な悪魔族たちが流入してしまった事で戦場と化しました。怪我をして気絶したまま目覚めないアマルガムを背負い、必死に逃げるメイ。そうして落ち伸びた先、小さな森の中の粗末なテントの中でアマルガムは「蒼き天使」の力を借り、転生者としての記憶に目覚めるのでした。「わたしは…」という小さな呟きと共に溢れる涙、溢れる記憶、大好きだった兄のため投げうった命。全てを思い出したアマルガムは、今現在の自分自身を娘として愛してくれるメイの事を守ろうと決意するのでした。
やがて逃げ延びようとするメイとアマルガムの前に悪魔たちを狩る任務を帯びた討魔騎士団、よりによって第七騎士団の団長であるサージェンという男が現れます。酔狂な男である彼はメイを守ろうとサージェンの前に立ちはだかるアマルガムの姿を見て、アマルガムを弟子に迎えようと言い出しました。剣先を首元に突き付けられては断る事もできないアマルガムは、サージェンの弟子として彼ら第七討魔騎士団の本拠地である西リーヴァン王国へと招かれる事となったのでした。
 
ローヴィスという若き剣士の下で必死に研鑽を積み、双刀を自らの得物と定めて以降彼女の才能はメキメキと開花していきました。転生前のミサも知的障害がある代わりに異様な怪力を発揮する事のできる少女だった事が影響し、彼女の魂には肉体をどのように動かせばいいのかについて天性の才能が備わっているのです。やがて彼女は数年の鍛錬の間に騎士団の兵士たちでは相手にならない程の天才的な双刀使いとなりましたが、やがて彼女の才能は壁に当たり始めました。どうやってもローヴィスに太刀打ちする事ができなかったのです。
 
そんな日々の中でした。アマルガムとメイの故郷を滅ぼした悪魔たちの追手が第七騎士団の本拠地であるサージェンの兵舎まで攻め込んできたのでした。空を駆ける悪魔たちの姿に恐怖し、一旦は悪魔たちに叩きのめされたアマルガムですが、恐怖に打ち震えるメイを護るため、自らも悪魔としての力を覚醒させてゆくのでした。「痛みによって反射神経が何倍にも加速される」、それが彼女の身体に宿っていた真の力でした。
アマルガムの姿を嘲笑し、彼女を慰み者にしてやろうと意気込んでいた悪魔たちは、直ぐにその考えを改めることになりました。アマルガムは攻撃を受け「痛み」を感じれば感じるほど凄まじく動きが速くなってゆき、悪魔たちの身体を輝く双刀で粉々に切り刻み始めたのでした。悪魔たちの血を浴びて微笑むその姿はまさに残虐極まりない殺戮者そのもの。悪魔たちは血相を変えて逃げ出そうとしましたが、血を浴びて覚醒し切ってしまったアマルガムから逃げる事はできませんでした。そうしてアマルガムはたった一人で空を飛ぶ強力な悪魔たちを粉々に斬り殺し、泣き叫ぶメイの眼前にはバラバラになった悪魔たちの死体が散乱しました。
 
それからこれまでの苦悶が嘘のようにアマルガムの才能は更に開花して行きました。大切な人を守るために経験した実戦は、殺戮者としての目覚め。彼女の双刀は型にはまらない無形にして変幻自在の動きをもって迫り、そして最終的にはサージェンの見守る目の前でローヴィスとの試合にも勝利。サージェンは次の悪魔討伐の遠征に、自らの副官としてアマルガムを連れて行く事を宣言したのでした。
(第一章終了)
 
☆ストーリー:主人公2:エーレイジオン・マーゼル
物心つくころから、悪魔族の少年は「エイジ」と名乗っていました。どうしてそんな名を名乗るのかと周囲の悪魔たちからも笑われましたが、「エーレイジオン」という長ったらしい名前を省略する上で一番最初に思いついたのが「エイジ」という呼称でした。彼は他の悪魔族たちとは比較にならない異常な強さの腕っぷしをもって喧嘩の現場では無敗、時に気に食わない者を殴り殺す事すらありました。
常にその両腕を誰かの血で真っ赤に染める残虐な男ながらも、エイジは自分を育ててくれた盲目の悪魔ゼーディエックや、仲間になった者たちを護るためならどんな事でもする悪魔でした。その行動こそ残酷非道でしたが、常に彼は彼なりの正義に沿って動きつづけていたのでした。そんな姿が多くの若い悪魔族たちの支持を集めて行き、いつの間にかエイジの下には街の孤児たちや貧民たちが集うようになってゆきました。
そんな彼の姿を見つめ微笑む、不気味な一つ目のマスクをかぶった魔術師の姿がありました…。
大陸中を覆いつくそうとしていた悪魔族と人間たちの戦争の中で、彼は自らの運命に己の拳一つで殴りかかってゆくのです。
(第三章予定)
 
☆第二章の展開
第二章は一旦は書き始めていますが、「ちょっと違うな」と思ってまた転がし始めました。もう直ぐ第二章は書き直す予定です。そんなわけで登場人物の輪郭は決まっています。
☆「幼き魔眼」サリア・レディエッド
☆「偽りの聖女」レクセリエル・リーフェンブルク
☆「蜘蛛の怪物」ワズ=フィフ・ルブリセ
三人の印象的な女性キャラを前にアマルガムは苦しめられ、時に自らの存在すらも忘れてしまいそうなほどの混迷に襲われますが、師匠たるサージェンに諫められた「愛ゆえの甘さ」を克服すべく、強大な敵キャラと戦ってゆきます。
 
☆さらにその先(全部ネタバレ)
※反転表示してください。
名前から分かる通り、物語の構造としては第一主人公であるアマルガムと第二主人公であるエイジが戦乱の中でばったり出会って、そこからが本番みたいなノリになります。前世では兄と妹の関係だった二人は、生まれ変わった異世界において戦いの中で結ばれる恋人として共に歩んでゆき、そうしてお互いがお互いの事を思い出して涙を流しながら魂の再会を遂げる…という形になります。
ただし物語としてはそこでハッピーエンドではなく、後の六つの時代に繋がってゆく歴史の流れの中で二人は強力な仲間たちと共に翻弄されて行く事になります。その中には後の時代に「腐敗の異形王フフレ」や「暗君の道化師アルメキドナ」に繋がってゆくキャラクターたちが登場し、後の時代に登場する別の物語主人公たちと壮絶な戦いを繰り広げることになります。
 
☆作品方針
今回は、「クソ下手である事を承知の上で全部物語を書き切る」という事を目標としています。
死ぬほど長い物語になるので書き終えられるかどうかは不明ですが、一旦書き通してみれば恐らく「自分のストーリーテリングのどこに問題があるのか?」みたいな事は全部見えてくるのではないかと考えています。問題点が洗い出せたら、次の物語ではそれを修正して次の主人公たちを動かして行けば、ジャンク長編小説だったものが徐々にマトモに読める小説になっていってくれるんじゃないかと考えます。